養育費の差し押さえをするには、3つの条件を満たしている必要があります。
- 相手に養育費を支払う能力があること
- 相手の現住所を把握していること
- 債務名義があること
この3つを満たしていないと、差し押さえができません。
ただし自分では把握しにくいこともあるでしょう。
例えば相手に養育費の支払い能力があるかどうかですが、離婚して数年も経過しているのなら状況が分からないはずです。
そもそも離婚前と同じ会社に勤務しているかもわかりませんし、預貯金の状況なども把握できないでしょう。
こうした状況を正確に把握したいのなら、弁護士に依頼をするのがいちばんです。
弁護士であれば調査権があるので財産の状況だけではなく、現住所などについても調べてくれます。
これらの点は正確に把握していないと、せっかく手間をかけて行った差し押さえの手続きが空振りに終わる可能性も出てくるのです。
つまり万全を期すためにも、専門家である弁護士に頼ることを選択肢の1つとして排除しない方がいいでしょう。
弁護士に依頼すると高額の費用がかかると考える人もいますが、実際にはどんなことを依頼するのかで上下するものです。
ですので一概に弁護士に費用がかかると思い込んでしまうと、自分から効果的な選択肢を減らすことになります。
また差し押さえも簡単な手続きではないので、そうした点でも弁護士に依頼すれば書類作成なども一任できるのがメリットです。
条件① 相手に支払い能力がある
養育費の差し押さえをするには、相手に支払い能力があるかどうかが重要です。
仮に差し押さえをするとしても、相手が無職であればどうでしょうか。
生活費を差し押さえすることはできないので、無職でお金がない状況の人から養育費の回収はできません。
だからこそ事前にしっかりと相手の財産や、支払い能力があるかどうかを調査しておくことが重要です。
もちろん個人では難しいことなので、もし相手の経済状況が分からないのなら弁護士に相談してください。
弁護士には調査権があるので、財産の状況なども口座から確認ができます。
条件② 相手の現住所を把握している
養育費の差し押さえをするには、相手の現住所を把握しないといけません。
手続きをする上で相手の住所が分からないと、進められないためです。
もし離婚後に元配偶者とのやり取りがなく、どこに住んでいるのか分からないのなら住民票から調査を行うといいでしょう。
ただし相手の現住所を調べるとしても、弁護士に相談するのがいちばんです。
住所を調べるとしても、自分で行うのには限界があるでしょう。
また仕事が忙しいのなら、役所などに足を運ぶのも難しいはずです。
自分ではできないのであれば、弁護士に依頼してください。
他に選択肢としては探偵に依頼するといった方法もあります。
ただし探偵にも多額の費用がかかりますし、場合によっては裁判なども考慮にいれないといけないので最初から弁護士に依頼する方が良いでしょう。
条件③ 債務名義を持っている
養育費の差し押さえを行うための最後の条件が債務名義があるかどうかです。
債務名義とは養育費の請求権を証明する公的な書類になります。
簡単にお伝えすると、差し押さえする権利がある書類のことだと考えてください。
この債務名義には以下のような書類が該当します。
- 調停調書
- 審判書
- 執行受諾文言がついた公正証書
- 和解調書
- 判決正本
が該当するものだと考えてください。
簡単に解説をしておきますと、離婚時にお互いに養育費の取り決めを公正証書としていると良いのですが、差し押さえをするのなら証書内に執行受諾文言がないといけません。
調停調書とは調停を利用して養育費の支払いなどが成立した時に、作成される公的な書類です。
この調停で決着がつかずに、裁判所の審判を受けた時のものが審判書です。
また離婚時に裁判になった時、和解で決着がついた時のものが和解調書になります。
和解ではなく裁判官の判決に従った場合が、判決正本になるのです。